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ピロリ菌って、何だ?

アイビーメディカルインフォメーションシリーズ >ピロリ菌って、何だ?

ヘンな菌なんです

「ピロリ菌」、ある程度はご存知の方も多いと思います。この菌は胃の中を棲家にしており、ヘリコバクター・ピロリというのが本名(和名)です。

大腸の中には様々な腸内細菌が雑居し共生していますが、空腹時の胃の中は胃酸のためpH1~2という過酷な環境です。極寒のシベリアの地とでも言えるでしょうか。したがって普通の菌は胃の中で生活できません。わざわざそんなところに好んで住むこの菌は、他の菌と共生できないちょっと変わり者の細菌なのです。

ピロリ菌はシベリアの地に暮らすため、「ウレアーゼ」という特殊な酵素を持っています。この働きにより酸を中和し身を守っています。

潰瘍・胃炎・胃がんの原因に

こんな「変人」のピロリ君は胃に悪さをします。ふかふかの胃粘膜のすき間にもぐりこんだピロリ君のために、周囲の胃粘膜はやせ細っていきます。そうするとまた別のすき間で繁殖を続け、胃粘膜を広く荒らしていきます。この結果、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍が発生します。

荒らされた胃の粘膜は、ついには「胃の粘膜」ではなく「腸の粘膜」のようになってしまいます。

このように変化してしまった粘膜には、胃がんができやすくなります。また、特殊なタイプのリンパ腫であるMALTリンパ腫(マルトーマ)や、特発性血小板減少性紫斑病(血が止まりにくくなり、青あざ=皮下出血ができやすくなる)などの病気を引き起こすこともあります。

日本人の感染率は高い

ピロリ菌は口から体の中に入りこんでいきます。ですので、衛生環境があまりよくなかった時代を過ごした50代後半以上の方では70%以上が感染していると推定されています。若い人でも、親がピロリ感染者だと感染率が高い、というデータがあります。

自分がピロリ菌に感染していないかどうかはどのように調べたらよいのでしょうか。現状ではピロリ菌の有無を調べる検査は、胃・十二指腸潰瘍の患者さんにしか保険適用がありません。つまり、保険で調べたい=潰瘍があるか否かの検査(普通は胃カメラ。当院では苦痛の少ない経鼻内視鏡)を受ける必要がある、ということになります。胃カメラを行い、潰瘍の診断が確定した場合に、その場で迅速検査などを行うのが一般的です。

胃カメラはイヤだが調べてほしい、という方も多いでしょう。そんな方には血液や尿、吐き出した息などで調べる簡単な検査法があります(このあたりについては当院医師にご相談ください)。

退治できるの?

感染が判明したら除菌することをおすすめします。除菌すると潰瘍や胃炎による症状(痛み、不快感など)が軽くなり、潰瘍の再発率も著しく低下します。

胃がんの発生も減少すると考えられています。国内の調査では、除菌した患者さんでは胃がんの発生が1/3になった、と報告されています。

除菌には2種類の抗菌薬と1種類の胃薬を1週間内服します。除菌後しばらくしてから「除菌判定」を行い、本当に除菌されたかを確認します(基本的に内視鏡検査は不要)。最終的な除菌成功率は9割以上です。

オフィス街にはストレスによる潰瘍や胃炎がつきもの。でも、本当はピロリ菌が原因かもしれません。日本人のがん死亡の原因として胃がんは2位に後退しましたが、それでも罹患率はまだまだトップ。胃の症状がある方は十分お気をつけください。

 

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